付録:FVS(Functional Vision Score)・支援ツール 【FVS(Functional Vision Score)】 身体障害者手帳の等級では、日常生活の文字処理や移動の不自由さを推し量ることはできません。しかし、この不自由さを視力と視野から推測できるFVS(FunctionalVisionScore)を米国医学会(AMA)は提唱しています。 視力スコアは、例えば視力0.01以下を0、1.0を100としています。 視野スコアは、例えば求心性狭窄0度は0、55度は100です。 視力スコアや視野スコアは右眼スコア×0.2+左眼スコア×0.2+両眼スコア×0.6で計算します。 そして、(視力スコア)×(視野スコア)後に100で割り、FVSを得ます。 【視覚障害をAMA、FVS、国際障害分類とWHO分類の比較表】の AMAでは、障害をclass0、class1、class2、class3a、class3bとclass4の6つに分けています。 FVSでは、AMAのclass0が100から93、class1が92から73、class2が72から53、class3aが52から33、class3bが32から13、class4が12から0の6つになります。 さらに国際障害分類では、AMAのclass0が正常、class1が軽度障害、class2が中等度障害、class3aが重度障害、class3bが極度障害、class4が視覚喪失の6つに相当します。 そして、WHO分類では、AMAのclass0と1(FVSでは100から73、国際障害分類の正常と軽度)は異状なしです。 AMAのclass2と3a(FVSでは72から33、国際障害分類の中等度と重度)はロービジョンに相当します。 AMAのclass3bと4(FVSでは32から0、国際障害分類の極度と視覚喪失)は盲です。 これらの視覚障害に対してのロービジョンケアとしては、正常者にも屈折矯正が必要になります。視野、色覚、コントラスト感度、両眼視、調節etc.の支援は国際障害分類の軽度障害から始まります。そして、国際障害分類の中等度障害者には拡大鏡、眼球運動訓練や遮光眼鏡etc.が役立ちます。さらに視機能が悪化すると、白杖歩行、音声・点字や日常生活訓練が必要となります。 関係機関との連携、書類の作成等は日常生活に支障が出始めたら必要となります。 【支援ツールmilook】 視覚障害者が仕事をする上でどのように支援すればよいか、当事者も支援者も分からず、苦悩している場合が散見されます。なぜならば、視覚障害者の見え方を支援者が理解できないために、思うような支援ができないからです。そこで、 視力低下や視野障害を理解できるツール(タブレット端末アプリ)を開発しました。これを用いることで、当事者の「見え方」を支援者と共有することが可能となります。 視力低下、求心性狭窄、中心暗点、輪状暗点と手描き暗点が説明できます。 FVSに関する質問は北九州市立総合療育センター眼科にご連絡ください。 また、支援ツールのアプリは、同センターHPから入手できます。http://www.ganka.kitaq-src.jp